大学職員の生活改善ねた

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そもそも大学の存在が知られていない!?-レピュテーション・マネジメントの重要性-

管理人Oです。

早速ですが、読者の皆様が所属する、または関わりのある大学は、国内外問わず広く一般の方々に知られていますでしょうか?
日本でも海外でも認知度が高い大学もあれば、日本での認知度の高さとは裏腹に、海外ではあまり知られていないという大学もあるのではないでしょうか。
日本では認知度が低いけれど、海外では広く知られているというパターンもあるかもしれません。

今回の記事は、大学の認知度向上のために活用できる考え方「レピュテーション・マネジメント」をテーマに記事を投稿いたします。
本記事は、2021年7月13日(火)・7月20日(火)に開催された、九州大学SHAREオフィス(Strategic Hub Area for top-global Research and Education - Kyushu University)主催のプログラム「大学のためのレピュテーションマネジメント」に参加して学んだことを基に書いておりますので、ご興味のある方は九州大学SHAREオフィスのホームページ等ご覧いただければ幸いです。(参照:https://www.isc.kyushu-u.ac.jp/intlweb/web/wp-content/uploads/2021/06/RM%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BCFinal.pdf
今回は事例紹介的な内容となりますので、その点ご了承ください。

レピュテーションとは?

九州大学SHAREオフィスでは、レピュテーションを次のように定義しています。(参照:http://www.share.kyushu-u.ac.jp/uploads/2017/08/0f7ca8343b60e4706794a83808ddf7ba.pdf

(本学に対する)学外者の主観的なイメージの集積、すなわち評判である。 

引用元:九州大学レピュテーションマネジメント戦略(2017.3.13)-国際的なレピュテーションを向上させるために-

また、レピュテーションは大学構成員のモチベーションに影響すること、学内外のステークホルダーの行動に作用することが説明されています。
つまり、大学の「評判」を向上させ、学内外のステークホルダーの反応を好意的なものとしていくことその考え方・手法が「レピュテーション・マネジメント」だと言えるでしょう。

大学の基本理念とレピュテーションの関係性

大学のレピュテーションを向上することが重要であることは想像に難くないと思いますが、では何を基準としてその方向性を検討すればよいのでしょうか。

九州大学では、「自律的に改革を続け、教育の質を国際的に保証するとともに常に未来の課題に挑戦する活力に満ちた世界最高水準の研究教育拠点となる。」という基本理念を掲げられています。(参照:憲章・基本理念 | 基本情報 | 九州大学について | 九州大学(KYUSHU UNIVERSITY)
デロイトトーマツグループにコンサルティングを行ってもらい、この基本理念を基として、「研究を中心としたレピュテーションの向上」を戦略目標とするレピュテーション・マネジメント戦略を策定されたそうです。

レピュテーション・マネジメント戦略

実際に、レピュテーションを向上させるための九州大学の取組みを紹介すると、次のようなレピュテーション・マネジメント戦略を打ち立てて、SHAREオフィスのレピュテーション・マネジメント・ユニットを中心に活動されてきたとのことです。

戦略1:強み・特色の徹底したアピール➡強い研究分野・特色ある研究分野を徹底的にアピールする
戦略2:ブランディング➡「九州大学といえば〇〇」という共通のイメージ(九大ブランド)をつくる
戦略3:インターナルコミュニケーションと連携の強化➡全学的なインターナル・コミュニケーションと連携を強化し、発信情報の発掘、豊潤化、多様化を図る
戦略4:ステークホルダーの優先度への配慮➡ターゲットとなるステークホルダーの優先度に配慮する(当面の優先順位は国内外の研究者および学生)
戦略5:ステークホルダーの分類による戦略的情報発信➡セグメント化したステークホルダーの関心やニーズに適する情報を様々なチャンネルや方法を用いて発信する
戦略6:KPIの設定等によるRM(レピュテーションマネジメント) 向上の検証➡KPI等の設定により、戦略実行後のレピュテーションの変化を把握し検証する。また検証に基づき戦略の見直しを行う

引用元:九州大学レピュテーションマネジメント戦略(2017.3.13)-国際的なレピュテーションを向上させるために-

 これら戦略に基づいてレピュテーション向上に取り組まれ、また、国際社会におけるレピュテーションの向上を実現するために、大学ランキングへの対応、複数大学から成るコンソーシアムへの参加、国際会議の招致等も行われたようです。

所感

今回「大学のためのレピュテーションマネジメント」に参加して、大学の評判を向上するための考え方を学びました。
中でも、九州大学のレピュテーション・マネジメント戦略を策定するためにコンサルティングを担当したデロイトトーマツグループの方からの話を通して、大学のレピュテーションに関わる2大要素(「大学の本質的な提供価値の向上」および「大学の持つ価値の認知・評価の向上」)の関係性について知見を深められたことで、担当する業務によって生み出す価値、そして、その業務に基づいた広報の在り方を、国際社会における大学のレピュテーション向上というより高い視座から考えられるようになったと感じました。

今後も、大学が持つ価値を戦略的に発信して人々に伝える手法を学び、このような場で情報共有していきたいと思います。

【管理人O】