全国大学事務職員調査を見て
管理人Iです。
先日8月4日(水)付の教育学術新聞内での投稿が興味深かったので、そのご紹介と感想を書ければと思います。
東京大学大学経営・政策研究センターが行った、第2回全国大学事務職員調査の結果を受け、東京大学大学院教育学研究科・准教授・両角亜希子先生が記事を書かれています。
本調査は2010年に第1回(5909人回答)、2021年2月に第2回調査(1983人回答)が行われました。
2021年2月調査の単純集計はこちら↓
http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/crump/resource/2021%20univ-staff%20survey.pdf
詳細な分析は今後公表されるようですが、注目したい数値に関してご紹介します。
①職員の仕事に関する意識について
・仕事について、やりがいがある、創意工夫が必要とされる、自分の能力や適性が生かされている、についての意識は2010年調査から低いまま
②職場の雰囲気について
・休暇を取得しやすい:2010年調査より改善されている
・上司は信頼して仕事を任せてくれる、自分の意見や提案を言いやすい、という項目は減少
③将来について
・大学職員を続けたい、現在勤務する大学で働きたい:2010年調査より減少
④大学職員という仕事を選んだ理由
・学校・教育業界に関心があったから、地元で働けるから、安定しているから:ともに2010年調査より増加
⑤人事評価制度に対して
・能力や適性が生かされた人事異動が行われている、一定のキャリアモデルが示されている:2010年調査時点と同様に低い評価のまま
その他の項目もありますが一部を抜粋しました。
こうした結果について、両角先生はこの10年で大学職員はあまり変化をしておらず、期待されている方向に向かって変化しているエビデンスが見いだせないとして、危機感を感じている、というコメントをされています。
【考察】
今回ご紹介した調査結果は一部ですので、改めてご紹介できればと思いますが、
個人的には
・「大学職員を続けたい」という項目が低かった
・人事評価制度に対して不満を抱えている割合が高めであること
に興味を持ちました。大学という組織で働いていくなかで人事や評価制度に不満を感じることがあり、それが大学職員を継続していくマインドを下げている、という仮説が立てられるのかもしれません。また、「業務のスクラップ・見直しが適宜実施されている」という項目も評価が低かったことから、業務環境の改善が思うように進んでいない現状も見ることができます。職員のモチベーションがうまく上げられていない職場環境になりがちである、という言い換えもできるかもしれません。
人事制度の在り方や業務の見直しが積極的に行われる大学職員組織を作っていくことが、今後生き残っていく大学なのではないでしょうか。今後は大学職員も専門職採用が進むとされていますので、大学職員の在り方、働き方も転換期を迎えていると言えます。
今後も大学職員の意識や働き方に関する情報提供を行っていきたいと思います。
【管理人:I】