大学職員の生活改善ねた

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コロナ禍における外国人留学生への対応

管理人Oです。

9月も今週で終わり、2021年度も折り返しに差し掛かりますね。
地域によっては年度初めから感染拡大防止のための行動制限があったりと、学生・教職員はじめ大学関係者の方々には、気を遣う対応が求められたことと思います。
年度後半には感染状況も落ち着き、ある程度の制限緩和が進むことを一大学職員として願っております。

さて、今回は、私が担当する業務の中で新型コロナウイルス感染症の拡大に最も影響を受けた『外国人留学生への対応』について経験をまとめ、留学生担当職員の今を記事にして共有させていただきます。
ちなみに、なぜこのことを記事にしようと思い立ったかと言いますと、9月21日付で文部科学省から「外国人入学志願者の受験機会確保の徹底について(通知)」が通知され、日本国外にいる外国人入学志願者への対応、そして、入学試験合格後の授業参加への配慮を検討することが大学に求められる状況になっていることから、経験を共有することにより、他大学でも情報が活きると感じたことが大きな理由です。(参照:文部科学省、「外国人入学志願者の受験機会確保」について全国の大学に通知 - 大学ジャーナルオンライン

新規渡日者の入国条件(2021年9月27日現在)

大学によっては、元々は外国人入学志願者に対して、来日して入学試験を受験することを課していることも少なくないでしょう。
事実、私の属する大学では、一部の専攻を除いて、受験者は試験会場に足を運び、物理的にその場にいることが前提条件となっています。

では、受験のための入国は認められているのでしょうか。

2021年9月27日現在、全世界の国・地域からの新規入国を可能とする措置は停止されており、特段の事情がない限り入国は認められておらず、現状、受験のための日本入国は認められていません。(参考:国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について|外務省
本学では私費外国人留学生に加えて国費外国人留学生も積極的に受け入れており、関係省庁が調整役となる後者については、12月末までかけて順次入国できる見込みとの連絡がありました。
しかしながら、私費外国人留学生については未だ入国可能時期が読めない状況にあります。

入学試験対応

上述のように新規渡日が困難となっている状況では、冒頭に紹介した文部科学省からの通達のとおり、情報通信技術(ICT)を駆使した対応を検討せざるを得ません。
本学では、外国人入学志願者からの受験希望の有無に応じて対応を柔軟に検討してきました。
例えば、2021年度入学の博士課程医学専攻入学者選抜試験においては、元々は日本入国を前提条件として試験を実施することを明記して募集要項を公表しておりましたが、日本入国が困難な外国人入学志願者から受験申込があり、専攻長・所属教室との対応検討の後、全学的な入試機構会議の議を経て、募集要項に入国困難な志願者に対してはビデオ会議による面接を実施することを追記し、対応することとなりました。

このように、調整等に手間がかかることは否めませんが、外国人入学志願者に対しても学習機会を確保するという観点に立てば、ICTを駆使することによって入学試験を受けられる環境を整えることが、私たち大学職員に求められていると思います。

入学後の対応

無事に入学試験を受験し合格したとして、その後の学生生活はどうなるのでしょうか。
また、外国人留学生の生活支援を行う職員の役割は、入国できていない学生に対してはどう変わるのでしょうか。

現在、私は大学院3専攻を含む医学部に配属されており、その職務として、医学部に在籍する外国人留学生への対応を担っています。
今年度、私が対応する外国人留学生の中には、大きく分けて私費外国人留学生・国費外国人留学生・JICA長期研修生の三つの異なる立場の学生が存在します。
教育を受けるうえでの違いはないですが、それぞれ学資負担者が異なるほか、大きな違いとして、入国までの各種手続きに関する協力者の有無があります。

私費外国人留学生については、学生本人及び家族等が日本入国の調整をすることが原則であり、大学職員及び、受入れ予定教室の教職員による支援を強く求められることが多い印象です。
一方、国費外国人留学生については、現在は文部科学省の関係部署が入国関係書類の準備・旅行券等の手配を担っており、私費外国人留学生に比べると、入国の調整に関する負担が少ないと言えます。
JICA長期研修生も同様で、JICAによる調整が入るため国費外国人留学生と同等の負担の少なさであると言えるでしょう。
このように、私が担当する職務では、三者三葉の立場の外国人留学生が存在し、それぞれの状況に応じた対応が求められています。

例えば、大学院博士課程に在籍する私費外国人留学生の一人は、2021年4月に入学したが日本入国ができず、母国から本学のLMSに接続して授業を受けています。
もちろん座学だけではないため、研究に関しては、ビデオ会議ツールを活用して指導教員らとの打合せを定期的に実施しています。

今までは国内にいる外国人留学生を対象に、留学生担当として生活支援を担当してきましたが、このように物理的にいない留学生に対する支援をどのように行えばよいか考える機会が多くありました。
(なお、本記事で挙げた国費外国人留学生及びJICA長期研修生については、日本への入国ができていない学生らは本年10月入学のため今回は割愛させていただきます。)

担当として外国人留学生と連絡を取るうちに気づいたことは、次の一点に尽きます。

外国人留学生は、日本人学生以上に、正確かつ最新の情報が手に入らないもどかしさを抱えている

コロナ禍により対応が刻一刻と変化している中で、異国の情報を学生一人の手で収集することは困難であることは想像に難くありません。
留学生担当として支援できることは、日本国内の状況、そして大学の対応を主として情報をまとめ、日本に入国できていない学生に対して情報を提供することだと改めて認識させられました。
また、情報提供以外にも、こまめに連絡を取ることで、学生の状況を知り、少しでも不安を取り除くことに繋がるのではないかとも感じました。

以上、外国人留学生への対応に関する一大学職員の所感でした。
お構いなければ、読者の皆様のご所属ではどのように対応されているか聞かせていただけると幸いです。

 

【管理人O】