大学職員の生活改善ねた

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変革を起こす組織が持つ要素①:アイデア至上主義

管理人Oです。

突然ですが、皆様はどのようなジャンルの本を読まれますでしょうか?
私は、変革を起こす人・組織のマネジメントに興味があり、書店に立ち寄る際、はたまた電子書籍をブラウズする際には、気になる書籍を購入しては積ん読本にすることが癖づいてしまっております。

今回は、久しぶりに積ん読本の一部を消化でき、その内容から持続的に変革を実現する組織の運営に関して重要なことを学びましたので、そのことを記事にして皆様に共有いたします。
記事を書く上での大きなテーマとして『常に変革を起こす組織が持つ要素は何か』に焦点を当て、今回は「アイデア至上主義」の概念について記します。

大学業務から少し離れた内容ですので、予めご承知おきください。

『全員一致の合意形成』か『最善のアイデアが勝つ』か

あなたは今、何かしらのプロジェクトリーダーを務めているとしましょう。
関係者全員が集まる打合せでプロジェクトの企画・方針を協議する中で、もしも対立しあう複数の意見が出てきた場合、あなたは妥協点を探り全員一致の合意を形成するでしょうか?言い換えれば、その場のコンセンサスを重要視するでしょうか?
または、組織の利益のために最善と思う意見を選択・採用し、全員一致の合意を得ない状態でプロジェクトを進めるでしょうか?

金融業界の話になりますが、世界最大規模の投資運用会社であるBridgewater Associatesの創設者Ray Dalio氏は、2018年1月29日にGoogleに招かれた講演の中で、以下のとおり力説しています。

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合意形成を目指す限りは市場で成功できない。市場価格には全員一致の合意が組み込まれている、つまり、他者全員が考えることはすべて市場価格に反映されている。投資家や起業家として成功するためには、合意に反して『自律的に物事を考えられる人(independent thinker)』でなければならない。
また、組織として繁栄するためには『自律的に物事を考えられる人』を大勢惹きつけ、各自が思慮深い議論を交わす環境を作ることが必要である。

引用元:Principles: Life and Work, Ray Dalio, Talks at Google

『自律的に物事を考えられる人』が自由に意見を述べ、議論の場で思慮深く批評しあうことにより、組織に関わる人々が有意義な関係を築き、有意義な仕事に取り組むことを可能とする最善なアイデアを見つけることができる、というのが彼の主張で、この仕組みは「アイデア至上主義(idea meritocracy)」と名付けられています。*1

この話を私なりに噛み砕いて、変革を続ける組織として発展するには、自由な議論の中で全員一致の合意形成を目指すのではなく、組織の未来をよい方向に舵を取る最も優れたアイデアを見つけ出し、そのアイデアに基づいて意思決定することが大事だと感じました。
事実、Ray Dalio氏も著書Principles: Life and Workにて、広く万人が実践できるようこの考え方を一般化しています。

では、どのようにして組織内で「アイデア至上主義」を実現するのでしょうか。

「アイデア至上主義」を実現する極めて重要な要素として、「徹底的な誠実さ(radical truthfulness)」「徹底的な透明性(radical transparency)」が挙げられています。
「徹底的な誠実さ」は、議論に参加する全ての人が、物事の真実を探求する一心でアイデアを共有し、また、否定的なアイデアに対して建設的な議論を展開する様を表しています。
そして「徹底的な透明性」は、意思決定の上で重要なあらゆる情報が全員に開示されていること、また、議論に関わる全ての人が長所・短所を開示している様を示しています。
Ray Dalio氏は、これら2つの要素を生み出すための3つの原則的なルールがあると説明しており、それらルールをまとめると次のとおりです。

1)議論の中で率直な意見を述べること Put your honest thoughts on the table
2)思慮深い意見の相違を許容すること Have thoughtful disagreement
3)意見の相違を乗り越えるために定められた方法を順守すること Abide by agreed-upon ways of getting past disagreement

引用元:Principles: Life and Work, Ray Dalio, Talks at Google

ここまでの要点をまとめると、議論を行う際に、参加者が立場に関係なく公平・公正に率直な意見を言えること、意見の相違によって議論があらぬ方向に進まないよう参加者が許容する心構えをすること、及び議論の仕方を定めることに留意して進行すれば、変革をもたらす最良のアイデアを選択可能な組織運営ができると結論づけられます。

これらを踏まえて、大学内で活用するなら、組織の課題解決や特定事業の推進のために結成されるワーキンググループから取り入れて実践することが「アイデア至上主義」実現のとっかかりとなると感じました。
ワーキンググループはその性質上規模が小さく、全てのメンバーが発言する機会が多く、また、議論の進め方を統制しやすいことが考えられるため、自由で活発な議論の場を確保しておける見込みが高く、この環境により「アイデア至上主義」を大事にする文化を醸成し、常に変革を起こす組織運営を行うための足掛かりになるでしょう。

【予告】要素②:ブレイントラスト

今回は、「アイデア至上主義」について学んだことを投稿いたしました。
積ん読本を読み進める中で、「アイデア至上主義」に加えて組織の自己検証力を高める概念を学びましたので、私の次回の投稿では、その概念に触れ2つ目の要素として記事を書かせていただきます。
その2つ目の要素とは、「ブレイントラスト」です。
次の投稿も、どうぞご期待ください。

【管理人O】

*1:meritocracyは実力主義を意味しますが、ここでは、発言者が誰なのか、どの立場の人が発言したものかによらずアイデアの質で判断する、という意味合いを含めて「アイデア至上主義」と邦訳しました。