大学職員の生活改善ねた

大学職員が有志で集まり、日々の仕事に役立つ情報を発信、共有していきます。仕事に直結するもの、ガジェット情報、日々の雑感、など

大学職員を目指す学生へ③

 

このブログでは現在、「大学職員を目指す学生へ」というテーマで、複数の大学職員によるリレー投稿が続いています。

 

この記事はその三本目です。

最初に、これまでの二本をサッと振り返ります。

 

一本目は管理人I氏より。大学という組織の特殊性や大学の外の環境について述べており、業界研究の重要性に言及しています。

daigakushokuin2020.hatenablog.com

 

二本目はN氏より。信頼残高を増やすために入職後にどのようにふるまえばよいか述べています。入職後もさることながら、普段からだれでも心がけておきたいことですね。もちろん、採用にあたっても。

daigakushokuin2020.hatenablog.com



さて、三本目となる今回では大学職員の「専門性」に焦点をあてつつ、大学職員を目指す学生の方へメッセージを送ってみたいと思います。

 

メッセージは三点です。

 

 

 

 


①答申や審議まとめから国の文教政策の方針を理解しましょう

日本の教育のかじ取りを行う省庁である「文部科学省」の一番えらい人である「文部科学大臣」に対して、教育や学習に関する大事なことを話しあい、意見を述べる「中央教育審議会」という組織があります。さらにその下部組織として「大学分科会」ってのもあります。この分科会では大学のことを中心に話し合います。

 

この中央教育審議会や大学分科会の出した答申や審議まとめには目を通しておくとよいです。

「大学業界でどのようなことが起きていて、今後何を解決していかなければならないのか」がわかり、業界研究につながります。

知らない単語・業界用語も出てきますが、せっかくなので検索して勉強してみてはいかがでしょうか。

「全部読む時間なんてない!」という忙しい方は、概要だけでも理解しようとすることをオススメします。上記赤字の背景と課題に関するクエスチョンの答えを探すことを目的にして、概要をつかみましょう。

さらに、答申や審議まとめに対する自分なりの意見があるとなおヨシ!です。

 

例えば、大学分科会が2月上旬に以下の審議まとめを出しています。

www.mext.go.jp




②ご自身の専門性と採用されてから行う仕事とを結びつけて考えましょう

上記の審議まとめから、大学職員の「専門性」の箇所を抜粋します。23ページです。

(ちなみに以下で抜き出した箇所の前後にも大学職員の理解を深めるための言及があります。ぜひお目通しください。)

 

「事務職員は、大学経営やマネジメント層の中核となる人材として機能を発揮し、大学経営人材として活躍するなど、変革をリードしていくことが望まれる。いわゆる「事務方」という認識を払拭し、高大接続に係るアドミッション・オフィサーや大学運営IR人材のほか、経営・企画マネジメント、教務、広報専門人材、地域連携コーディネーター、ファンドレイザーなどといった多様な職務において活躍することが期待される。今後、大学等が連携し、新たな役割を担う人材育成に取り組むことが求められる。」

 

今後、(もしくは今すでに)、大学職員はこういった人材(とその育成)が求められると大学分科会は述べています。

 

大学分科会が言うには、大学職員は

「仕事は事務じゃなくて」

「専門性をもって」

「大学経営の中心を担う」

存在です。

 

アドミッション・オフィサー?大学運営IR人材?ファンドレイザー?

 

なんそれ!

 

と思われる方もいると思いますが、これらはすべて専門性を活かして大学の経営に資する専門職人材です。

(すごく雑に言うとアドミッションオフィサーは良い入試や学生募集のあり方を考えて実行する人、大学運営IR人材はデータサイエンティスト的な人、ファンドレイザーは寄付金を集める人です。)

 

企業ではすでに専門性を持つ人材の採用、いわゆるジョブ型採用が進んでいます。新卒採用も例外ではありません。以下の社説を引用します。

www.businessinsider.jp

 

大学業界は企業ほどジョブ型採用が進んでいない印象を持っています。かつ新卒採用ではそこまで専門性を求められない大学も多く存在するでしょう。

 

ただ、この後でも述べますが専門性がなく事務処理しかしない大学職員に未来はありません。遅かれ早かれ必要になるものです。

 

「専門性なんてない!」という方、そんなことないと思います。大学生は124単位(もしくはそれ以上)の学修の中で専門性を身に付けているはずです。

 

自身が学ばれた専門性を大学経営にどのように生かすことができるか考えてみてください。

 

「それでも専門性というには足りないよ!」と思われた方、今から専門性を獲得しましょう。採用試験には獲得が道半ばでも、入職後きっと役に立ちます。


ちなみに上記で抜き出した箇所の前後にも大学職員の理解を深めるための言及があります。ぜひお目通しください。





③事務だけをしたい方は大学職員になるのをやめておきましょう

「大学経営?そんなものは偉い人や先生の仕事だ!事務だけをしていたいんだ!事務!事務!」という方、大学職員にならないことをおすすめします。

 

なぜならその仕事はそもそもなくなる可能性が高いからです。

 

事務処理の多くはAIに代替される可能性が高く、「大学職員の事務処理はすべてAIによって代行可能だ」という主張を見聞きすることすらあります。

(細かい話ですが、事務「処理」というのがポイントです。事務「遂行」なら少し話は変わってきますが、今回はここを言及するのはやめておきます。)

 

冒頭の「大学職員を目指す学生へ①」の記事内で述べられている通り、今後大学はたくさん潰れることが予測されます。

仮に運よく生き残りそうな大学に入職できたとしても「事務だけしたい人材」が生き残れるかは別問題でしょう。

 

そもそもが斜陽産業なのに、そのうえ自ら存在価値が危ぶまれる仕事内容を希望することはやめておいた方が良いのでは、と思っています。



 

と、いうわけで三点のメッセージをご紹介させていただきました。

 

「大学経営がしたいから大学職員になりたい」というアツいハートを持った方が増えてほしいな、と思っています。



【見えないモノを見ようとしがちな大学職員】