合理的配慮の考え方について
管理人Iです。
二週間前の投稿では障害学生への合理的配慮が私立大学でも義務付けられたこと、そして合理的配慮は同規模大学が実施しているものと同水準のものを提供しなければならないことをお伝えしました。
daigakushokuin2020.hatenablog.com
今回は「合理的配慮の考え方」について書いていこうと思います。よろしくお願いします。
今回、覚えて頂きたいことはこちら。
・3ポリシーで教育の本質を明確化することで、合理的配慮の内容が決めやすくなるよ! ということです
基本的に障害者手帳を根拠資料とし合理的配慮が提供されますが、大学等では医師の診断書がなくても障害の傾向があるという場合でも合理的配慮を受ける学生が一定数存在するというデータもJASSOの調査ではあるようです。とはいえ、学生の生活上の困難さはそれぞれ違いますし、所属する学部で展開されている教育によってどんな配慮が望ましいかはそれぞれ異なりますので、配慮の内容は各大学がケースごとに検討をしていく必要があります。
では大学における合理的配慮の提供において、その内容を検討する上で大切な点について触れたいと思います。大学おいては3ポリシー(AP、CP、DP)により教育の本質を明確化することで、合理的配慮の提供によって変更可能な点と変更できない点を明確化することができます。
例えば、
・「素早く回答できること」を評価することが教育の本質とする場合→試験における時間延長は認められない
・「速さではなく回答の質」を評価することが教育の本質とする場合→試験における時間延長は認められる
といった具合です。
そのため教育の本質と目指す能力水準の作成において「〜ができる」までが具体化されていると合理的配慮の内容も検討しやすくなるということです。
合理的配慮はあくまで学生が修学を継続するための教育環境の変更・調整を行うものであり、成績評価基準を変えるということではないということになります(成績評価方法の変更や調整は必要になる場合があります)。
合理的配慮の提供と並行して学生の能力向上を行なっていくことも学生の為に必要なこととなっています。例えば発達障害の学生が苦手とする時間の管理方法やレポート作成の手順などは工夫をしながら学生と一緒にトレーニングをしていくことが望ましいです。学生の能力向上に向けた工夫については今後の投稿で書きます。
少し古いですが、日本学生支援機構(JASSO)が発行した、「教職員のための障害学生修学支援ガイド(平成26年度改訂版)」をご案内しておきます。
各事例に対しての具体的な配慮内容がまとめられている冊子です。
【考察】
この様に3ポリシーに基づいて配慮内容を決めていけば大学としてもその配慮内容にブレが出てこなくなり一貫性のあるものになります。そうして内容が精査されていくことで大学の負担も軽減できるかもしれません。中小規模大学は社会福祉士のような専門職の配置も難しいことが多いので少しでも効率の良い支援を目指したいですね。あとは具体的な支援にTAなどにも協力してもらい、学生による相互支援も図っていきたいところです。持続可能な支援を展開していくことはSDGsの考え方にも沿っていることになりますね。
【管理人:I】