アンケートのメリット・特殊性・限界は何か(その②)
みなさまは、コミュニケーションをとることは得意ですか?それとも苦手ですか?
(ちなみに、私は苦手です。)
コミュニケーションの成功には、視覚情報や聴覚情報など、いわゆるノンバーバルな情報が不可欠だ、という考え方があります。
「メラビアンの法則」というものです。
この法則の話もちょっと踏まえつつ、今回の記事は以下の記事の続きです。
daigakushokuin2020.hatenablog.com
前回の記事ではアンケートの「メリット」をご紹介し、
アンケートはデータを集めるために効率的なツールである、と書きました。
今回はアンケートの「特殊性」についてです。
アンケートはとっても特殊なコミュニケーションではないか、と思っています。
そして、それは三点に集約されると考えています。
①書かれたことばのみによるコミュニケーションである。
アンケートに書かれたことばや記号や数字という手段だけで、未知の回答者との間にコミュニケーションを成立させなければなりません。
ノンバーバルな手段は一切使えません。
相手の知識レベル、立場、心理状態等を的確に把握する情報収集力・理解力・想像力が必要です。
私は、相手のことを考えて、考えて、考え抜いてアンケートを作成することを心がけています。
②一対不特定多数のコミュニケーションである。
多数の回答者に、ほぼ同時に、同じ条件で、同じ内容で質問を行う中で、全ての回答者に質問の意図を同じように解釈してもらわなければなりません。
回答者の言語能力がデータの質を左右するため、とにかくわかりやすい表現を用いる必要があります。
私は、大人の方を対象にアンケートを取る際でも「中学生でもわかる表現」を心がけるようにしています。
③相手に答えて「いただく」コミュニケーションである。
回答者の自発的な協力と忍耐があって、はじめて成立するコミュニケーションです。
アンケートを作るときは、回答者が答えやすいよう、質問内容・質問順序・質問量・選択し・書式・レイアウト・カラーリングなど、全ての要素に配慮する必要があります。
私は、わざわざ自分の時間をつかって、しかもタダでアンケートにタダで答えていただいている方に対して、「感謝っ・・・!圧倒的感謝っ・・・!」の気持ちを持つようにしています。
そもそもアンケートの回答はお金がもらえる行為ですし、(アンケートモニタのリンクを貼ってもよいですが、アフィリエイトっぽくなるのでやめておきます)
ウェブアンケートを実施するとン十万円のコストがかかります。
その点、大学で行う多くのアンケートは、学生の方に無償で答えて「いただいて」います。
にもかかわらず上から目線のアンケートになっているものも散見され、本当に何様?と思ってしまいます。
というわけで、今回はアンケートの「特殊性」をご紹介しました。
アンケート、意外と難しいと思います。
次回は「限界」について、それからアンケートを作成し運用する際に最も大事だと思う心構えのフレーズをご紹介ししたいと思います。
■参考文献
鈴木淳子(2016)「質問紙デザインの技法」, ナカニシヤ出版.
【見えないモノを見ようとしがちな大学職員】