大学職員の生活改善ねた

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事実・データから仮説を立てるポイント

 初投稿の私立大学に勤務する中堅職員です。
 今回はテストも兼ねて、日頃の業務においても重要な「仮説」について、最近読んだ本の内容をご紹介したいと思います。

 仮説とは、「確実と言えるわけではないことはわかっているが、ベストを尽くして考え出したもの」である。確実な結論を出すためにデータを網羅的に集めていては時間がかかることから、手元にあるデータから結論を導き出すことが求められる。しかし、それだけでは単なる思い付きに類するものとなってしまうことから精度を上げるべく考えつくすことが重要である。

 仮説を立てる際には、2つの問いが重要である。

①「それらのデータから何が言えるか?(So What?)」

②「そのデータから本当に仮説が妥当を言えるか?(Why?)」

 しかし、これらを行っても裏付けからずれた仮説を立ててしまうことがあることから注意が必要である。

①裏付け(データ)と無関係な仮説

 裏付け(データ)の一部の言葉から連想することを仮説としてしまうパターン

②裏付け(データ)の一部しか使っていない仮説

 裏付け(データ)の一部しか使っていない、使いきれていない仮説のパターン

③裏付け(データ)を逸脱した仮説

 裏付け(データ)の内容を反映しているものの、論理の飛躍がみられるパターン

 

 そして、仮説を立てる際の心構えとして、自分にとって意味のあるアウトプットを目指すという意識を持つことが大切。

(1)仮説を立て始める際の心構え

①目的を明確にする

目的とは、仮説を踏まえたアウトプットを誰がどのように使うのかによって決まる。本来の目的に役立つ成果を挙げるためには、目的と仮説の連関を意識する必要がある。

②準備を徹底する

データの整理に時間をかけておくことは仮説の精度に繋がる

(2)主体性をもって仮説をたてる

①情報を活用する責任を持つ

情報を正確に理解し、取捨選択しなければ制度の高い仮説とはならない。情報の理解、情報を理解できていないことの理解を深める等、責任感・主体性を持って情報と接することが重要である。

②新規性

仮説を立てる段階で誰かと同じような仮説は価値が低い。自分にしか立てられないような仮説を立てることが重要。

(3)精度の高い仮説を目指して考え抜く

仮説は自分の言葉で一言でまとめられるもの。一言でいうならば「どのような意味があって、どのようなことが言えるのか」自分の言葉で言えるもの。決して情報の列挙ではない。ただし、一言といっても状況を正確に捉えた上で立てた仮説は50~70字程度になる。

(4)仮説の材料となるデータ

データにはデータや情報が数値で表現されている「定量データ」、言葉で表現されている「定性的なデータ」がある。

定量データ

定量データは情報がコンパクトにまとめられ、数値という目に見えやすい形で表現されていることから、全体的な傾向を捉えたり、客観的な比較をしたりする時に有効。一方で、背景の解釈が出来ず、数字が独り歩きする可能性がある。

②定性的なデータ

定性的なデータは主に文章で構成されたものであり、メッセージ性が強い特徴がある。一方で、特定場面のデータであることから偏りは否めず、状況を網羅的に捉えたり全体の傾向を客観的に捉えることができないという欠点がある。以上から、データを使って仮説を立てる際、定量データと定性的なデータを効果的に組み合わせることが重要であるといえる。

 

今回の投稿が読者の皆様の業務の質向上に繋がれば幸いです。

 

参考(引用)文献

生方正也(2015)「第2章 事実・データから仮説を立てる」『アウトプットの質を高める仮説検証力』,すばる舎,pp56-69.