大学職員の生活改善ねた

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大学職員の人材育成について考える

例えば一般企業が人材育成に積極的になるのは当たり前のことかもしれません。

でもそれが学校法人、大学になると当たり前ではないことがあります。

 

一般企業の場合、組織の理念が社会貢献だったとしても、利益をあげることがそのための目的達成にある程度繋がることになり、結果的に目の前の利益や数字を追うことと組織の目的達成のベクトルがある程度一致します。

つまり仕事に対して利益追求というわかりやすい共通理解があり、定量的な評価軸になります。

当然、多くの利益を上げるため、積極的に人材育成が行われます。

 

一方、大学は、受験者数が増えれば収入は増となるものの、入学定員が満たせるようであれば授業料による収入は変わらず、また公共性の高さから税金による収入があるため、利益をあげることに必死にならなくても、ある程度組織が維持できます。

組織の目的としては、研究成果を社会に還元することや、より良い人材を社会に送り出すことや、地域振興などでしょうか。

これらは定量的な尺度で評価することが難しいです。

また、ある程度やっていれば一定の収入があるため、これらの目的の達成度合いについて自らは危機感を感じにくいです。

 

それゆえ、外部から求められて初めて危機感(本質ではなく外部からの指摘に対する)を感じることも多いです。

外圧がなければ動けないから、文部科学省はSDを義務化したのでしょうか。

 

とすると、学校法人・大学が組織の目的をより高いレベルで達成するには、大学で働く職員が内発的な動機づけにより行動できなければなりません。

外発的動機づけしかない環境では、モチベーションがもちません。

つまり、職員の自己啓発が非常に重要になってきます。

 

ただ、ほっといても全員が自己啓発なんてしないので、組織的に自己啓発を促すしかけが必要です。

 

たとえば人材育成ビジョンの策定。

 

就職から定年までの人生のだいたい3分の1くらいは仕事をやっています。

その時間を充実させれば、人生も充実する、という考えのもと、職員には自分はどのようにキャリアを積んでいくか考えてもらいます。

 

職員のキャリア開発においては、当然各職員の意志ベクトルと組織の意志ベクトルがある程度同じ方向を向いていないといけません。

 

組織としては、まず組織がどのような人材育成を考えているか、職員にどうなってほしいかを考え、可視化する必要があります。

 

でないと当然、職員のベクトルを合わせることができません。

 

これは組織と職員のコミュニケーションである気がします。

どうなって欲しいか明示せずに、また具体的な人材育成もせずに放置した結果、仕事ができないという人を組織のお荷物扱いするのは、雇用している組織として無責任に感じます。

組織はどう思っているか伝え、また職員がどうしたいかを聞き、どうしていくか落とし所を考える。

他の仕事となんら変わらないメカニズムです。

 

そういった意味で、人材育成ビジョンの策定は、自己啓発を促す環境づくりの第一歩といえるかもしれません。

 

人材育成ビジョンに基づくSDプログラムの策定・明示もそうです。

 

最初からいきなり自発的に動ける人ばかりを採用できれば問題ありませんが、人間の多様性を考えるとそんなことあるわけがありませんし、環境が変わればモチベーションも変わります。

最初はある程度強制的に知識やスキルを増やしてもらう機会を設けなければならないでしょう。

 

ただし、どんな意図でどんなプログラムを策定しているかを明示し、その上で受講してもらう必要があります。

自分の中で理屈が納得できれば、ただ受けるだけの研修にはなりにくいです。

俯瞰的に捉えられるかどうかは非常に重要です。

 

制度の裏表ない趣旨説明は組織と職員(組織=職員かもしれませんが)の相互理解を深める上で、必要不可欠です。

それが組織への信頼に繋がり、自発性も湧いてくる。と個人的には思っています。

 

組織の中で一人が優秀でも、全体のパフォーマンスはたいして変わりませんし、継続性も保てません。

一人でできることには本当に限りがあります。

 

ただし人材育成の充実で職員皆が変われば、それは組織に非常に大きな効果を生むと思います。

そういった意味では、まず大学改革で最初に取り組むことは、人を変えることではないかと感じます。

 

利益に直結せず、結果がでるか確証がないだけに、経済的に苦しい大学ほど目先の利益に優先順位をつけがちです。

 

ただ、組織とは人と制度でできています。

 

目先にとらわれない判断が必要です。

 

【大学職員Y】